レーザー治療と聞くと、シミ取りや脱毛など、美容クリニックの施術を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
実は歯科医院におけるレーザー治療の歴史は古く、1985年頃より使用が開始されました。しかし当初のレーザーの出力は弱く、高出力のレーザー治療が普及し始めたのは1994年以降です。
現在では保険診療の適用も進み、幅広い歯科治療でレーザー機器を活用しています。
歯科用レーザーとは、実際にどのような機器なのでしょう。
レーザープリンターやバーコードリーダーなど、レーザーを使った身近な機械は、私たちの身の回りにたくさんあります。歯科用レーザーは、それらよりもっと出力の高いレーザーを使用しています。治療が必要な箇所に照射することで、組織を切開したり、病的な部分を蒸散させたり、固めたりすることが可能です。
歯科治療特有の「キーン」という機械音もなく、痛みも少ないため、画期的な治療機器と言えます。
歯科用レーザーの使用は保険診療の適用も進み、2023年現在では、虫歯・歯周病・軟組織の保険治療において使用が可能となっています。
歯科用レーザーはとても安全で副作用もありません。赤外線領域の波長で発がん性もなく、妊娠している方やペースメーカーを使用している方でも、安心して治療を受けることができます。
当院で使用しているレーザーの種類は以下の2つです。
それぞれの持つ波長によって組織反応が大きく異なるため、治療によって各機器の特徴を活かして使い分けています。
こちらは、接触型のレーザーで、電気メスと同じような感覚で粘膜の治療に使用します。切開と同時に止血と殺菌を行い、電気メスに比べて組織のダメージを最小限に抑えることが可能です。
こちらは、非接触および接触型のレーザーで、2つのレーザー機器の中で唯一硬組織にも応用が可能です。止血効果が他の2つに比べ多少劣りますが、さまざまな形状のチップと出力を切り替えることで、粘膜の切開やメラニン色素。虫歯・歯石・骨などの蒸散が行えます。レーザーを照射した箇所に殺菌効果もあるため、再生治療には欠かせません。
歯科用レーザー治療を使うメリットやデメリットを解説します。
レーザー治療では、切開とほぼ同時に止血や殺菌を行うことができるため、出血を最小限に抑えることが可能です。また、出血が少ないことで、治癒部分をしっかりと確認しながら正確な治療を行えるメリットがあります。
レーザー治療では、歯医者特有のキーンという音や振動がないため、不快感をあまり感じずに治療を受けることができます。また、炎症部分などもレーザーで蒸発させて取り除いたり緩和させたりすることができるため、傷の回復が早く痛みが少ないのが特徴です。
虫歯治療では、従来の方法よりも時間がかかります。
症状や治療内容によっては、保険適応外となる場合があります。
歯科用レーザーを使用した治療の具体例を紹介します。
メラニン色素は喫煙などにより歯肉に沈着します。レーザーを歯肉に直接照射して上皮を蒸散すると、新しい上皮が再生することにより綺麗なピンク色の歯肉を取り戻すことができます。
口内炎や口角炎など、口の中の辛い痛みにレーザーを照射することで被膜ができ、回復が早まります。
虫歯治療を行った後、肉眼では見えないような細菌が残存していることがあります。治療の後にレーザーを照射することで隅々まで殺菌することができ、虫歯の再発を防ぎます。
虫歯が進行すると、神経の治療が必要となります。歯の神経は形が複雑で、徹底的に殺菌するのが困難な箇所です。しかしレーザーを照射することで、歯根の中を隅々まで殺菌し、炎症を早く鎮めることが可能です。
歯周病の治療は、従来の方法だと出血が多いことが問題でしたが、レーザー治療により出血の少ない治療が可能となりました。
また、歯周ポケットの奥に溜まった歯垢は、通常肉眼では確認ができないため、綺麗に保つことが難しい箇所です。しかし歯周ポケット内をレーザー照射することで、歯肉の内側の殺菌や消毒にも効果を発揮し、膿の排出も促されます。
歯の根元がえぐれて知覚過敏の症状がある場合、レーザーを照射することで数日後から症状が軽減します。
最先端のレーザー治療を体験することで、痛みや不快感を最小限にしながら効果的な治療を受けられるのは、今の時代の歯科医療の魅力のひとつです。
当院では、患者様の状態や希望に合わせて最適なレーザー治療を選択し、安全で高品質な治療を提供しております。
レーザー治療は長期的な口内環境の健康と快適さを追求するための価値ある投資と考えています。
新しい歯科治療の経験をしてみませんか?
お気軽にご相談ください。