

2025年4月24日
今回は、あなたの笑顔を支える大切な存在「エナメル質」についてのお話です。
歯はエナメル質、象牙質、そしてセメント質という3つの層からできていますが、その中でもエナメル質は人体で最も硬い組織として知られています。
歯の一番外側にあるこの層は、熱い飲み物や冷たいスイーツ、さらには酸性の食品など、日々の刺激から内側の敏感な象牙質を守る重要な役割を果たしています。
また、このエナメル質こそが、歯に美しい白い輝きをもたらしている秘密でもあります。
ところが、歯が生えてくる段階でこのエナメル質が十分に形成されない場合があります。
もし、歯の表面に白い斑点が見えたり、むし歯ではないのに部分的に茶色や黄色に変色したりしているのを見かけたら、それは「エナメル質形成不全」の可能性があります。
また、重度の症状の場合は歯の表面がでこぼこしていたり、エナメル質が無いため象牙質がむき出しになっていたりすることもあります。
しかも、エナメル質形成不全の歯は見た目の変化だけでなく、むし歯になりやすいというリスクも抱えているため、要注意です。
特に、奥歯(第一大臼歯)や前歯はこの状態が起こりやすい部位です。
とりわけ奥歯は、汚れがたまりやすくむし歯リスクも高いため、日頃のケアが欠かせません。
さらに驚くべきは、日本小児歯科学会の調査結果です。
7歳から9歳の児童を対象とした調査では、地域差はあるものの、約5人に1人がエナメル質形成不全と診断されるというデータが出ています。
エナメル質形成不全は決して珍しい疾患ではなく、実は案外高い確率でかかるものなのです。
しかも、乳歯はもともとエナメル質が薄いためむし歯になりやすく、エナメル質形成不全が重なるとむし歯が進行しやすくなるので、より一層の注意が必要となります。
もしお子さんが乳幼児検診や学校の歯科検診でエナメル質形成不全と診断された場合は、定期的に歯科医院でチェックを受けることが重要です。
そして、日頃からの丁寧なセルフケアで大切な歯をしっかり守ってあげましょう!